記憶脳と思考脳・分析脳

日本の学校教育や受験制度は記憶力に偏重していると批判されることがあります。情報を記憶することよりも、それを整理分析して考える力、分析力や思考力のほうが大切ではないかという主張です。 
もちろん私たちも思考力や分析力の重要性には同意します。 

しかし、記憶脳と思考脳、分析脳は、それぞれ補完し合うものであって、どちらが大事というようなものではありません。これまで述べてきたように記憶力はあらゆる脳力を根底で支える土台となる力です。とくにワーキングメモリについていえば、思考力や分析力そのものである――少なくともその内部的な機能の一つ――と考えるべきです。 
一般にIQには記憶力は関係ないと思われてきましたが、むしろテスト結果を大きく左右するのは、脳の計算能力と共に、それを支えるワーキングメモリの力なのです。 

ワーキングメモリをはじめとした記憶力全般は、感情や意欲などとも深く関わっています。感動したことや驚いたことなど深い感情を伴うことは記憶に残りやすく、逆に、私たちの性格や心の動き、人間性は記憶された内容によって構成されています。 

そういった意味において、記憶力は心の知能指数とも称されるEQとも深い関係にあります。

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